プラスチック
地球を救う意外な生き物。燃料やプラスチックになる「ミドリムシ」とは
2023.04.04
地球を救う意外な生き物「ミドリムシ」とは
ミドリムシとは、約5億年も前からいる生き物で、昆布やワカメの仲間です。
名前だけを見ると「虫のなかま」と思うかもしれませんが、
動物と植物の両方のとくちょうをもつ、とてもめずらしい生き物です。
大きさは、長さ0.05ミリ~0.1ミリ・幅0.01ミリと大変小さく、顕微鏡(けんびきょう)でしか見ることができません。
ミドリムシのとくちょう
ミドリムシのとくちょうとしてまず知られているのは、
「光合成(こうごうせい)をする能力が高い」ということです。
光合成とは、植物などが二酸化炭素と水から酸素をつくるはたらきのことをいいます。
ミドリムシが酸素をつくる速さは、なんとイネの十数倍以上。
空気中の二酸化炭素の割合が今の1000倍になっても、元気に育つことができます。
ミドリムシのとくちょうの二つ目は、「人間の体に良い栄養素をたくさんもっている」ことです。
ミドリムシは、ビタミン・ミネラル・アミノ酸など、59種類もの栄養素をバランスよくたくわえています。
またミドリムシを食べることで、そのような栄養素をたくさん体内に吸収することができます。
わたしたちが野菜を食べたとき、体に吸収できる栄養素は40%ほどですが、
ミドリムシは90%以上の栄養素を吸収することができます。
ミドリムシはどんな場所で使われている?
このようなとくちょうをもつミドリムシは、環境問題をはじめ、食べ物・栄養問題を解決する生き物として研究されています。
ここからは、ミドリムシが環境問題にどのように役立っているのかを見てみましょう。
例えば、ミドリムシから取り出した油分(油)は、乗り物を動かす燃料として使用できます。
(このように、動物や植物からつくられた燃料のことを「バイオ燃料」といいます。)
ミドリムシのバイオ燃料は、2023年から車用の燃料として、東京都内2か所のガソリンスタンドで利用されています。
また、ミドリムシのバイオ燃料を使ったジェット機も、2021年に飛行テストに成功しています。
ミドリムシの活用例の二つ目は、ミドリムシ由来のプラスチックの開発です。
とある会社では、ミドリムシだけがもつ特別な成分「パラミロン」を使ったプラスチックを開発しました。
(このように、動物や植物からつくられたプラスチックのことを「バイオマスプラスチック」といいます。)
わたしたちの体にも、地球にもやさしいミドリムシは、わたしたちのくらしをもっと便利にしてくれる生き物として、期待されています。
次回からは
ミドリムシのように、「環境にやさしい素材」として注目されている意外な素材を紹介します。